制服から環境を考える~バトンバッグ・ローカルアクション~

高校家庭

活用できなかった制服の生地をバッグに再生し、生徒が装飾・販売まで挑戦するバトンバッグプロジェクトは、「環境・福祉・学校・地域」をつなぐ、実践型の“服育プログラム”です。そんなバトンバッグプロジェクトを主催する株式会社チクマキャンパス事業部の高重さんにお話を伺いました。

バトンバッグプロジェクトとは?

◎まず、バトンバッグプロジェクトの概要について教えてください。

高重:バトンバッグプロジェクトは、制服づくりの工程でどうしても発生してしまう「未活用生地」に新しい命を吹き込む取り組みとして、2014 年からスタートしました。

まず、私たちの未活用生地を、福祉施設でバッグに縫製します。そのバッグを学校へお届けし、生徒たちが刺繍やワッペンで装飾を行い、さらに地域イベントなどで販売まで担っていただき、バトンのようにつないでいきます

販売で発生した収益は、次のボランティア活動や学校内の自主活動の原資としてお使いいただけるので、環境 → 福祉 → 教育 → 社会と、価値がリレーされていく仕組みになっています。この「つながり」を体験できることこそが、本プロジェクトの大きな特徴です。


▲バトンバッグ・ローカルアクションの流れ

プロジェクトの生まれた背景

◎バトンバッグ・プロジェクトができた背景について教えてください。

高重:毎年、制服を制作していると、傷物やモデルチェンジなどの理由で、どうしても使えなくなってしまう生地(未活用生地)が発生してしまいます。

基本的には車の内装材などへリサイクルしていますが、ただリサイクルするだけではなく、もっと社会にとって新たな価値のある循環にできないかという問いからこの活動が生まれました。当初は、ソロモン諸島の子どもたちにバッグを届ける「グローバルアクション」という形で行っていましたが、コロナ禍の輸送制限を機に、国内の学校と地域をつなぐ「ローカルアクション」へと変化していきました。私たちが長年取り組んできた「服育」との親和性が高く、アップサイクルを通じて「ものを大切にする心」や「価値を生み出す経験」を子どもたちに届けられる点も、このプロジェクトの大きな特徴だと思います。

  • 服育=(株)チクマが進める、私たちの暮らしに欠かせない衣服の価値と役割を理解し、生きる力や豊かな心を育む取り組み。

申請方法と取り組みの様子

◎もし学校で取り組んでみたいと思ったときには、どのように申請すればよいでしょうか。


高重:学校が参加をご希望される際は、まずウェブサイトの問い合わせフォームから連絡をお願いします。

お問い合わせフォームはこちら

お申し込みいただければ、事務局よりバッグの一覧サイトをご案内します。一覧の中から、必要なタイプと数量を選んでいただければ、在庫があれば随時発送が可能です。
未活用生地という性質上、学年単位などのまとまった注文をいただいた場合は、新たに縫製を行うため2ヶ月程度の納期をいただく場合もあります。

◎実際に取り組みを行った学校の様子を教えてください。

高重:これまでに約100 校の学校が本プロジェクトにご参加いただいています。縫製は福祉施設での作業となりますが、施設の紹介資料などもありますので、どのような工程でバッグが出来上がったかをイメージすることができます。

実際のアップサイクル作業では、生徒さん一人一人がデザインを考え、刺繍やワッペンなどで独自のアレンジを加えていただきます。その後の販売方法や価格設定まで自分たちで決めることができるので、主体的に取り組むことができます。

◎共生や消費生活まで考えることができる取り組みですね。

高重:家庭クラブなどでもご活用いただいています。

福祉施設の資料以外にも、実際に販売する際には、弊社からイベント装飾ツールなどの提供もさせていただきます。また、SNS での広報の協力、アップサイクル方法の相談などもサポートさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

▲江戸川学園取手中・高等学校での取り組みの様子

取り組みの詳しい様子はこちらから

メッセージ

◎学校で家庭科を教える先生方にメッセージをお願いします。

高重:私たちがこれまで取り組んできた「服育」は、服を題材に「人」や「社会」、「環境」などについて学ぶ教育活動です。本プロジェクトはその中でも、制服という“生徒さんが日常的に身につける素材”を通じて理解を深められる取り組みです。バトンバッグプロジェクトは、この服育の理念を実践する場として、生徒さん自身が「価値を生み出す経験」「誰かのために手を動かす意義」を実感できるプログラムとなっています。

また、私たちは、服には「生活を豊かにする力」があると考えています。生徒さんには、ぜひその可能性を感じ取ってほしいと思います。自らの工夫で価値を創造した体験は、将来社会に出たときの自信につながります。

未活用生地に新たな価値を見出し、それを学びへと変えていく、そのプロセスを、先生方とともに子どもたちへ届けていきたいと思っています。ぜひご活用ください!

高重 奈緒Nao TAKASHIGE

株式会社チクマ キャンパス事業部 服育net 研究所 研究員 服育コーディネーター
株式会社チクマは1903 年創業の繊維商社です。ビジネスからスクールまでユニフォーム全般の生地・製品を取り扱っています。私は奈良女子大学生活環境学部でウェアラブルコンピューティングを応用した防災服の研究に取り組んでいました。卒業後、株式会社チクマに入社し、現在は服育net 研究所に所属しています。「アップサイクルプロジェクト」の企画・運営に携わるなど、様々な団体と連携しながら活動しています。

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